• 2026-02-02

#5 SPF値の高い日焼け止め(UV)クリームの日常的な使用は、血中ビタミンD濃度を下げる

トータルスキンケア・クリニック銀座

〜紫外線の強いオーストラリアからの論文の紹介です〜

★SPF値の高い日焼け止めクリームの日常的な使用は血中のビタミンD濃度を下げる★

紫外線の強い時期には、シミ予防や皮膚癌予防目的で日頃から日焼け止めクリームを使われる方も多いかと思います。

普段、意識せずにSPF値の高いUVクリーム(SPF50+)を日常的に使用していませんか?

SPF(Sun Protection Factor)は紫外線の防止効果を表す表記で、最高値がSPF50+となります。

ちなみに赤外線の防止効果はPA (Protection Grade of UVA)で表記され、+〜++++の4段階に分けられます。

背景 1

★ビタミンDの作用は何ですか?

ビタミンDは抗炎症、細胞増殖、神経筋機能、免疫機能、グルコース代謝などを調整する様々な役割を持っています1)。

★ビタミンDはどこで作られますか?

紫外線(UVB)の曝露により、皮膚でコレステロールから変換されて作られます2)。

高齢者や肌の色が濃い人は日光からビタミンDを生成しにくくなります2)。

またUVBはガラスを通過しないため、屋内で窓越しに日光に当たってもビタミンDは作られませんので注意して下さい3)。

背景 2

★ビタミンD欠乏症が原因の病気・症状は何がありますか?

病気:くる病、骨粗鬆症、骨軟化症

症状:筋痛、筋力低下、免疫力低下、疲労感など2)

★過去にUVクリームの日常的な塗布が血中ビタミンD濃度に影響するという報告はありますか?

  

SPF16のUVクリームの日常的な使用では、血中のビタミンD [25(OH)D] 濃度に影響しないことが分かっていますが、SPF値の高いUVクリームでは分かっていませんでした3)。

Screenshot

★Sun-D試験

SPF50+のUVクリームの日常使用群と必要時のみ使用する対照群の比較:前向き試験 4)

結果:SPF値の高いUVクリームを日常的に使用する群 (介入群 312例)は、必要時のみ使用する群 (対照群 316例)と比較して、血中のビタミンD濃度が有意に低くなり、またビタミンD欠乏症の基準を満たす割合も介入群の方が有意に高い結果となりました。総じて筆者は、SPF値の高いUVクリームを日常的に使用している方は、ビタミンDサプリなどの摂取が必要となる可能性があると提案しています。

★対策編: 適度な紫外線の曝露時間はどのくらいでしょうか?

住んでいる緯度ににより異なります。

図から解釈すると、

東京では7月が1〜18分、12月は6〜70分ほど、札幌では7月が1.2〜20分、12月は12分〜2時間ほどで、緯度が東京より高いので冬は紫外線量が相対的に少なく、紫外線の必要暴露時間が長くなるのが分かりますね2,5)。

上記の最低値未満ではビタミンD合成阻害を生じ、最高値を越えると日焼けによる悪影響を生じ得るようになります。

適度な紫外線曝露時間を季節ごとに意識しながら生活してみて下さい。結構、難しいかもですよね🤣。

でも日本ならどの季節でも15分が安全域に入ることが分かります😀。

1日15分の適度な日光浴を皆様も頑張って下さい💪🏻。

ただし東京より緯度の低い沖縄では、紫外線の必要暴露時間は東京より短めに考えた方がよいかと推察されます。

まとめ

上記の論文を紐解くと、今回のようにSPF値の高い日焼け止めクリームを常用している方の他、高緯度地域にお住まいの方や1日中地下など建物の中で仕事をしている方も含めて、紫外線の曝露時間が相対的に短い方は、潜在的に血中のビタミンD欠乏があるかもしれません。まだ日本人での研究はありませんが、参考になる論文でした。

ビタミンDのサプリなど考えている方は、自己判断せずに医師への相談をお勧め致します。

院長

参考文献)

1)厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html

2) 紫外線環境保健マニュアル2020より抜粋  https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf

3) Hossein-nezhad A, Holick MF. Vitamin D for health: A global perspective. Mayo Clin Proc 2013;88:720-55.

4) British Journal of Dermatology, Volume 193, Issue 6, December 2025, Pages 1128–1137, https://doi.org/10.1093/bjd/ljaf310

5) Environmental Effects of Ozone Depletion and Its Interactions with Climate Change: 2010 Assessment (UNEP-EEAP, 2011)

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