- 2026-01-25
#4 ワクチン接種は認知症のリスクを減らすか?
トータルスキンケア・クリニック銀座

最近、患者様から「帯状疱疹ワクチン接種が認知症のリスクを減らすと聞きました」と、質問が来るようになりました。
今回はワクチン接種と認知症の予防効果について公衆衛生学的な論文を紹介します。

厳選した21件(104,031,186名を対象)の論文をまとめたシステマティックレビューの論文です。
結論としては、疫学的に成人に対するワクチン接種、特に帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎球菌、Tdap(破傷風+ジフテリア+百日咳)に対するワクチン接種は、認知症のリスク低下に関連している、という結論に至っています。
Age and Ageing 2025; 54:afaf331

★帯状疱疹ワクチン:6つの研究(979,768名:対象群9,455,017名)
全ての型の認知症リスクを24%低減(RR 0.76, 95% CI 0.69-0.83)
アルツハイマー病の認知症を47%低減(RR 0.53, 95%CI 0.44-0.64)
★破傷風・ジフテリア・百日咳ワクチン(Tdap)接種(41,170名:対照群165,109名)
認知症リスクを33%低減(RR 0.67, 95%CI 0.54-0.83)
アルツハイマー病のリスクを42%低減(RR 0.58, 95%CI 0.46-0.74)
★インフルエンザワクチン:9つの研究(2,510,058名:対象群7,547,014名)
認知症発症のリスクを13%低減するが(RR 0.87, 95%CI 0.77-0.99)、アルツハイマー病のリスク低下とは関連性なし。
血管性認知症のリスクを41%低減(RR 0.59, 95%CI 0.47-0.75)
★肺炎球菌ワクチン:3件の研究(276,413名:対象群402,911名)
アルツハイマー型認知症のリスクを36%低減(RR 0.64, 95%CI 0.47-0.87)
認知症のリスクを25%低減(RR 0.75, 95%CI 0.56-1.00)
★ポリオワクチン
アルツハイマー病のリスクを46%低減(RR 0.54, 95%CI 0.30-0.97)
認知症の病態:
①ヒトヘルペスウイルスやインフルエンザ、肺炎、歯周炎、百日咳の感染により認知症に至る神経変性プロセスを加速させる。
②慢性または重症感染症では、グリア細胞の活性化や炎症性サイトカインの放出、血液脳関門の障害などにより神経傷害や認知機能の低下に繋がる。
③ワクチンがアルツハイマー病におけるβアミロイドプラークのようなタンパク質を除去する自然免疫応答を強化する。
④感染症は、認知症の主原因である心筋梗塞や脳卒中などの血管障害リスクを高める。
などの機序が考えられています。
なお、COVID-19については韓国からの報告がありますが研究期間が3ヶ月間と短いため、現時点ではあまりエビデンスの高い結果はでていません。

結果的にワクチン接種をするかどうかの判断は個人に委ねられますが、ワクチン接種の主目的以外に副次的効果があるという疫学的な新たな発見ですね。
院長
